風に生きる

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      風に生きる
           (見失なわれた未来を求めて)

                             小山次郎

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登場人物表

    幸助(35歳)
    千菜(幸助の妻32歳)
    春介(幸助の息子15歳)
    源三郎(集落の人43歳)
    サクアニ(源三郎の息子23歳知的障害者)
    海東(山に住む民の男53歳)
    ミク(海東の娘14歳)
    カケル(春介の息子)
    名主
    友達A
    友達B
    役人A
    役人B
    集落の有力者
    住職
    百姓A~F
    兵士A~E
    新兵A~D
    その他

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あらすじ

江戸時代の初め、地方の山村で、家族と充実した生活をしていた百姓幸助は、村を代表して、豊臣家を完全に滅ぼす戦いに、徳川側として参加する。
戦は幸助の就いた徳川側の勝利となり、豊臣家は滅亡するが、その過程で、幸助は、庶民の残虐な殺戮に加担する。そのために人が変ってしまった幸助は、故郷に戻っても、村人や家族との生活になじめず、次第に孤立感を深めていく。幸助は自分なりにそこから脱却しようと試みるが、どうしてもうまくいかず、最後は首吊り自殺をはかる。だがそのとき幸助は、知的障害者であるサクアニに助けられる。そして幸助は、かつて自分が少しだけ指導したことがあり、そして自分が戦に行っている間はサクアニが管理していた山葵田に案内される。そして完璧なほど管理栽培されている山葵田のその奇跡的な光景を眼にしながら幸助は、人間の持つ不可思議な能力に深く感動して涙を流し続ける。そして幸助はそのことによって浄化されたかのように、それまでの良心の呵責や苦悩から次第に開放され、かつてのような人間性を取り戻していく。

  大切なのは、登場人物によって語られている言葉ではない。
  季節の変化に彩られる絶え間ない大自然の更新のもと、
  豊かな恵みをもたらす悠久の大地で働く人間や、
  農機具、建物、服装、風、水、煙、牛、馬、鶏など、
  すべてのものが調和した情景である。

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○山・低地
   穏かな初夏の谷あい風景。

○林間
   鳥の鳴き声。
   風にそよぐ木の葉。
 
○里山の水田
   穂が出る前の稲。
   飛び交う蝶。
 
○山・高地
   山並みだけの風景。
   遠くに雪を残すさらに高い山脈が覗く。
   その山脈にあわせてズームイン(Z・I)。

○険しい山道
   三人の人間がその道を登っている。
   ひとりは中年の男(幸助)。
   他の二人は若い男女(夫婦)。 
   三人とも背負子いっぱいに荷物を背負っている。
   若い夫は荷物の上に小さな子供を乗せている。
    (このシーンはラストシーンにつながる)

○賑やかな町並
   人々が行き交う道を挟んで色んな店が並んでいる。

○店内・布屋
   春介が綺麗な布キレを手にとって見ている。
   何を買うのか決めた様子である。
春介「これください」
   終始嬉しそうな笑顔をしている春介。

○店内・乾物屋
   幸助が持って行った物と塩や乾物の束との物々交換の交渉している。
   交渉が成立したようで店の主人も幸助も笑顔。

○街の道
   幸助が先ほどの店から穏かな笑顔で来る。
   しばらく道を進むと街角で待っていた春介と合流して歩き出す。

○平野
   雑木林と水田に囲まれた道を荷物を背負った幸助と春介の二人が歩いている。

○山間
   遠くに集落を臨む道を荷物を背負った幸助と春介の二人は歩いている。
   その道で役人二人とすれ違う。
   幸助と春介は道を開け、深々と頭を下げ二人を見送る。

○集落
   集落の前で待っていた四人の子供は、帰ってくる二人の姿を見つけると、
   笑顔を爆発させながら駆け寄る。

○幸助の家
   幸助からもらった紙包みから、お菓子を出して食べあう四人の子どたち。

○幸助の水田A
   水田に手を入れている幸助。
   その背景に農耕牛の姿。
幸助「カエルも鳴いている、水も温かくなってきている。もう、田植えは大丈夫だ」

○幸助の水田B
   家族総出の田植え。
   その背景に集落の者の田植え。

○幸助の畑A
   幸助、千菜、春介の三人が畑仕事をしている。
   その背景には小さな子供たちと一人の背の高い男の姿が映る
   さらに遠くには集落の仲間が働いている。
   突然大きな怒鳴り声が響く。
源三郎「コラッ、役立たず、今日は昼飯抜きだからな!」
   小さな子供たちと遊んでいた背の高い男は怯えたような顔をする。
   幸助はその声に驚いたように顔を上げ、手を休めてその声のするほうに眼をやる。
   源三郎とその母が幸助たちのほうに歩いてくる。
   歩きながら源三郎が幸助に話しかける。
源三郎「ほんとうにどうしようもないよ、朔男の奴、何にもやらねぇ、
 すぐ子供みたいに遊びたがるんだから、」
   幸助が穏かな笑顔で話す。
幸助「なあに、よっぽど楽しい遊びでも見つけたんじゃないか?!」
   源三郎が苦笑いを浮かべる。
   その隣に居る源三郎の母が幸助のほうに眼をやりながら千菜に話しかける。
源三郎の母「良いお婿さんもらったもんだ。こんな評判の、働き者お婿さん、
 わたしゃこの年までこんな働きもん見たことないよ」
   千菜は照れたような笑みを浮かべて黙って聞いているだけ。
源三郎の母「いつ見ても楽しそうに働いているんだよね」
   それを聞いて幸助応える。
幸助「楽しそうじゃなくて、楽しいんだよ」
   源三郎が幸助に近寄り、やや深刻な顔して小声で話しかける。
源三郎「あさって昼から、名主さんの家で大事な話しがあるそうで、」
   幸助黙ってうなづく。
   源三郎が普段の表情に戻って話しかける。
源三郎「茂吉さん、まだ動けないみたいなんだ。それで田植えもまだ終わってなくて、、、、」
幸助「そのことみんなと話してて、そのうちに手伝いに行かなきゃなって、、、」
源三郎「それはよかった。そのときにはわしにも声掛けてな、、」
幸助「うん、そうする」
   源三郎の母が幸助を見ながら話し始める。
源三郎の母「あんたのおかげでみんなが助かっている。何かあったら幸助さんのとこさ行けば、すぐ解決していく れるって、みんな言ってる、ありがたいことだ。良い苗も育ててくれる。今日はね、なんぼかゆずってもらおうと思ってね。千菜さんお願いしますよ」

○幸助の家の前
   昼食に帰ってきた幸助が家の前でぽつんと立っているサクアニを見て話しかける。
幸助「さあ、家にはいってお前も食えよ」
   サクアニ幸助の家に入る。

○幸助の家の中
   すでに子供たちがむしゃぶりついている。
   その全体の様子を見た後幸助は、ひとつの茶碗と箸を持って、サクアニに渡す。
幸助「いっぱい食っていいぞ」
   サクアニむしゃぶりついてあっという間にそれを食べつくす。
   それを見ながら幸助は笑顔で外に出る。

○幸助の家の裏の畑
   畑にやってきた幸助は植えてあるカブを一本抜くと、それを小川で洗い、歩きながら食べ始める。
   そして草むらに腰を下ろすと残りを食べつくす。

○草むらA
   草むらに寝転び、空を見ている幸助。
   そこへ千菜がやってきてそばに座る。
   幸助起き上がる。
   千菜が持ってきた茶碗を幸助に渡す。
   茶碗を受け取りながら幸助が言う。
幸助「お前は食べたのか?」
千菜「うん」
   半分食べた頃千菜のお腹が鳴る。
   幸助笑顔で茶碗を千菜に渡す。
   千菜それを受け取り食べ始める。

○草むらB
   仰向けに寝転んでいる幸助に千菜が凭れ掛かっている。
   その千菜を幸助は腕をまわして抱きしめる。
   千菜は幸せそうな表情をしているが、幸助は不安そうな眼をしている。

○幸助の畑B
   幸助と千菜が仲良く手をつないで歩いている。
   えんどう豆が植えてあるところに来て千菜が訊く。
千菜「ねえ、どうしてこんなに成長が違うの? 同じときに種を播いたのに!」
幸助「最初、こっちが小さかったんだよ。それで気にかけてやったんだよ。
 『早く大きくなれよ』なんて声をかけてさ。そしたら今度はこっちが大きくなって。子供の頃、嘉平爺さんの 言ったとおりだ。『野菜は可愛がれば可愛がるほど立派に育つ』って。
 でも、ほんとうはよく判らない、、、、とにかくよく判らないことばかりじゃ。俺は何にも要らない、家族の 笑顔さえ あればそれで十分だ。千菜、子供達のことは頼むよ。」
   千菜は不安そうな眼をして幸助を見る。
   幸助は千菜から眼をそらして言う。
幸助「やだな、変な意味じゃなくって、俺は稲や野菜を可愛がるから、千菜は今までどおり、子供たちを可愛が ってくれって言うことだよ」
   幸助と千菜は信頼の笑顔で見つめあう。

○幸助の家の前
   サクアニがボンヤリとしている。
   麻袋を手に持った幸助が近づいてきて話しかける。
幸助「面白いところに行くからついて来い」
   サクアニが幸助の後を付いて歩き出す。

○雑木林
   幸助の後を歩いているサクアニ。

○上り坂の雑木林
   幸助の後を歩いているサクアニ。

○下り坂の雑木林
   幸助の後を歩いているサクアニ。

○沢
   幸助が持ってきた麻袋に沢の綺麗な小石を入れている
   サクアニはそれを不思議そうな顔をしてみている。
   いっぱいになった袋を担いで幸助は斜面を登る。
   サクアニは付いていくだけ。

○上り坂の雑木林
   幸助の後を歩いているサクアニ。

○雑木林
   幸助の後を歩いているサクアニ。

○下り坂の雑木林
   幸助の後を歩いているサクアニ。

○山葵田
   上段と下段に分かれた、広さ合わせて100㎡ほどの山葵田。
   幸助は持ってきた麻袋を傍らに置き、壊れた土手の修復に掛かる。
幸助「いいか、サクアニ、よく見てるんだぞ、まずはこの流れ込んだ泥を外に出すんだ。
 できるだけきれいにな。
 それから壊れた土手を直していくんだ。
 大きい石から、順番に、中位の石、小さい石と積み上げていくんだ、そして最後は砂だ。
 判るか?」
サクアニ「うん?」
幸助「なぜこうするかと言うと、綺麗な水がいつまでもいつまでも流れ続けるようにするためなんだ。
 判るか?」
サクアニ「うん!」
幸助「でも、もっとも大事なことは、大雨が降っても、土手が壊れないようにすることなんだ。
 うまく水の通路を作ってな、余分な水が流れ込まないようにすることなんだ。
 でもな、本当の大雨のときは、このように壊れることはあるんだ。
 まあ、そのときにはこうやって直せばいいんだけどな。
 さあ、次は砂だ、砂を取りにいくぞ!」
サクアニ「うぉ、うぉ」

○幸助の畑C
   幸助、春介、千菜、春介の妹、畑仕事をしている。
   春介のともだち二人がやってくる。
友達A「幸助さん、春介借りてもいいですか?」
幸助「何するんだ?」
友達B「蜂の子取りに行くんです」
幸助「いいよ、それより気をつけるんだぞ」
友達A「さあ、春介行こう」
   走っていく三人を見ながら幸助がつぶやくように言う。
幸助「蜂の子はまだ時期じゃないのにな」
千菜「なんでも、喜平さんの娘さん、とっても綺麗なんだって!」
幸助「そういうことだろうな」

○雑木林
   風のように走り抜ける三人

○喜平の畑が見える雑木林
   木の葉の間から顔をのぞかせながら
友達A「いる、いる、いいなぁ」
   三人ともじっと見ている。

○雑木林
   再び風のように走り抜ける三人。

○細い道と畑
   二人の娘が畑仕事をしている。
   その道を友達Aが笑いながら不自由な歩き方をする一方の娘のまねをして歩く。
   真似をされた娘は突然畑仕事を止め、足を引きずるようにして走り出して藪に消え、号泣する。
   その声に三人は歩みを止め、声のするほうを見ながら真剣な顔つきになる。
   友達Aは少し途惑ったような顔をする。

○雑木林の間の道
   三人が横ぎる。
   遠くに二人の役人の姿が見える。

○名主の家
   ぼんやりと映る幸助越しに熱弁を振るう一人の百姓の姿がはっきりと映っている。
百姓A「なんで俺が今日ここに呼ばれたのかさっぱり判らない。また男を出せって言うの! この前の戦のときお ら家では、兄さを出したじゃないか。それじゃ、はっきり言わせてもらうけどさ、まだ、ひとりも出してない 家があるでんじゃないの、まだ若いとか、一家の大黒柱だとか、色んな理由をつけてさ、どこだとかはっきり いえないけどさ」
   百姓Aの姿の焦点がぼけ、うつむく幸助の姿がはっきりと映し出される。

○名主の家
   百姓Bが話す。 
百姓B「おらもそう思う。ほとんどものは、自分の家か親戚に戦に行っているか行った者がいる、そのうち何人 かは戦死して帰って来なかったりして、、でも、なかには、自分の家でも親戚でも、まだひとり出してないも のも居る。そういう人たちだけ今日は呼ばれるべきじゃなかったのかい、、、、」
名主「まあ、まあ、そんなに興奮なさらずに。後で話はするが、今日はその他にも、いろいろとお達しがあって、、、、、、」

○名主の家
   役人Aが話している。
役人A「その六、許可なくして他の村へ米の提供をせぬよう。その七、許可なくして田畑を開拓せぬよう。その八、許可なくして畑に新たな作物を栽培せぬよう。その九、どぶろくは絶対に密造せぬよう。その十、許可なき民との許可なき物と物との交換は、、、、、、、、、、」

○幸助の家
   背負子をかついだ幸助と春介が家族に見送られて家を出る。

○山道

○険しい山道
   歩き続ける幸助と春介。
○雪を残す山道
   歩き続ける幸助と春介。

○雪を抱いた山脈
   鷲が一羽舞う。

○谷合の集落
   里の住居とは少し趣きが違う家。

○集落の道
   幸助と春介が集落に入る。
   集落の子供たちが無言で迎える。
   歩く幸助親子。
   付いて行く集落の子供たち。
   幸助親子ある家に入る。

○東海の家
   里の者とは少し趣きが違う服装をした東海と挨拶する幸助親子。
   三人とも親しみのある笑顔。
   背負子をおろしてまもなく春介だけがその家を出る。

○東海の家の裏
   歩く春介。

○岩だらけの斜面
   登るようにして歩く春介。
   歩く春介の前面に東海の娘(ミク)の姿。

○岩と樹木に囲まれた平地
   立ち止まり歩いてきたほうを見るミク。
   春介が追いついて現れる(Fr・I)。
   近づいて話しかける春介。
春介「君に贈り物持ってきたんだ。これ受け取って」
   懐から先日町の店で買って布キレを出してミクに渡す。
   ミク嬉しそうな笑顔で受け取る。
ミク「ありがとう」
   二人の姿を残したままズームアウト。

○東海の家
   幸助の前に茶碗と箸が乗せられたお膳を差し出す。
東海「どうぞ、ごしょうもう下され」
   それを茶碗を手に取り食べる幸助。
   最初は怪訝そうな顔でそれを食べるが、美味しいと判り、かき込むように食べる。
幸助「こんな美味い物、生まれて初めて食べた。何の肉ですか?」
東海「それは、、、鳥です、山鳥です。太って飛べなくなった鳥です」
幸助「そう、そうですか。この脂身、なんともいえない。こうやってしゃぶっていると全身に染み渡るようだ。 どうして里の者たちはこれを食べないんだろう? ああ、うめぇ、、、、」
東海「豆はいかがですか?」
幸助「これは俺が持ってきた豆とは、、、、」
東海「そうです、それは、仲間のものが、里の収穫の手伝いに行って、落ち豆を拾う許しを得て持ってきたもの を種豆として、山肌を開墾して栽培したものです。豆は不思議とよく育つので、とても助かっております」
幸助「赤カブはどうだろう? 斜面でも良く育つというが、、、、」
東海「それは助かります」
幸助「そのほかにも入用のものが在ったらどんどん言ってください」
   少し神妙な顔つきになる東海。
東海「近頃は難しくなったとか?」
幸助「いや、そんなことはない、役人だって上から言われるから仕方なく言ってるだけで、、、それに、今はそ んなこと言っている場合じゃないみたいで、、、、、」

○集落の前
   集落の物に見送られて歩き出す幸助と春介。

○名主の家の庭先
   庭を見ている幸助の耳に周囲の話し声が入ってくる。
百姓A「、、、、今度こそ家康様は本気で天下をとりに行くそうじゃ、、、、」
百姓B「、、、、なんでも、手柄を立てたものには相当の褒美が出るそうじゃ、、、、」
百姓C「それも、本人だけじゃなく、その出身村にも出るそうじゃ、、、、、」
百姓D「隣の村だけには絶対に負けたくないな、、、、」
百姓E「ほんとうに家康様は勝てるのかな?、、、、」
百姓F「大丈夫だよ。味方も多いから。後は完璧に豊臣を滅ぼすだけだから、、、、」
百姓E「良かった、先祖代々家康様に味方していて、、、、」

○名主の家
   名主の家の庭で話す幸助と名主。
名主「今度の戦で日本の体制が決まるだろう。今こそわが村も態度をはっきりと示すときだ。聞く所によると、 隣村ではもう十数人ほど若い男を出しているそうだ。遅れは村の恥なのだ」
幸助「仮に戦に勝ったとしても、、我われ百姓の生活どうなるのか良く判らないです。俺ははっきり言って、誰 が天下を取ろうと、どうでもいいと思っている。」
名主「なんてことを言うんだ。お前ほどのものが。人に聞かれたらどうするんだ。どんなに村のものに迷惑が掛 かることか。迷惑だけならまだ良い、下手すると村人全員が村を捨てて逃げ出さなくてはならなくなるんだぞ。
 少しの遅れぐらいはまだ良い、兵士を出さないということは、負けた側に就いたとおんなじことなんじゃよ。
 戦に負ければ、どうなるか判っているだろう。
 山の奥に住む者どものことを聞いたことがあるだろう。やつらは戦に参加しなかったために肩身が狭くなって 、それで住むところかなくなってあんな不便なとこにしか住めなくなったんだよ。
 なんでも雪と岩で作って家に住んでいるそうじゃないか。それに食うものもあまりなくて、四足の肉を食って いるそうじゃないか。それで体中から毛が生えてきているそうじゃないか。なかには、手を突いて歩いている ものもいるとか、言葉をしゃべれなくなっているものをいるとか。そうなったらもう人間じゃない、けだもの だ。なあ、幸助よ、決断してくれ、家族のためにも、村のためにも。少しの遅れはかまわない、でも、隣村よ り少ないというのは、とても肩身の狭いことなのじゃ、村の恥なのじゃよ、、、、」
   眼を閉じ無言で聞いている幸助。

○幸助の畑
   幸助千菜春介春介の妹が働いている。
   たくましく働く春介をじっと見る幸助。

○集落の近く(夕)
   集落のところどころから煙がたなびいている。
   幸助は迎えに来た子供たちに手を引かれて家路につく。

○幸助の家(夜)
   芯の先の油が燃える薄暗いもとで話す幸助と春介。
   二人から離れてより暗いところに千菜がいる
幸助「今日お前のことを見てて、つくづく思った。お前はもう一人前だ。おかあを助けて、家族を守っていける 。だから戦には俺が行く。」
春介「俺はまだ一人前じゃない。ほんとうに家族を守れるのはオトウだけだ。だから俺が戦に行く。俺が行って 、この村のためにも立派に手柄を立てて帰ってくる。おとう、お願いだから、俺に行かせてけろ」
幸助「ダメだ。お前は百姓はもう誰にも負けないが、戦のことは何にも知らない、だからお前を行かせるわけに はいかない! なあ、おかあ、おかあもそう思うだろう?」
千菜「・・・・・・・」

○幸助の家の縁側
   家族総出で幸助の月代を剃る。

○集落の前
   集落の人たちに見送られて出征する幸助。

○兵舎
   普段着姿人たちのにまぎれて幸助がいる。
   そこへ武具を身につけた兵士Aが現れる。
兵士A「これから武具を支給する。それを身につけたら直ちに広場に集まるように」
   兵士出て行く。
   幸助たちみようみまねで武具を身につける。

○兵舎の外
   幸助たちが武具の身に付け具合を気にしながらゆっくりと出てくる。
兵士A「おら、だらだらしない、駆け足、駆け足。ここから横に整列。急いで、前を向いて。これから武器の使 い方の訓練をする。さあ、刀を抜いて、それで良し、では鞘に収めて。刀それで良い。振り回してればなんとかなるからな。それに短い時間にそんなにうまくなるものでもないからな。それより、槍だ。今槍隊で人が不足している。これから槍の使い方の訓練をする」

○兵舎の外の槍の訓練場Ⅰ 
    兵士Aの前で新兵Aが槍を突いている。
兵士A「ダメだ、もっと足を踏ん張って、腰を落として、ひじを引いて、力強く、気合を入れて、声をだせ!」
   兵士Aがみんなのほうを振り向いて。
兵士A「よし、はじめ」
   幸助たち全員が突き方を始める。
兵士A「もっと声を出せ! もっと気合を入れて! もっと腰を落として! これから連続で百回!」

○兵舎の外の槍の訓練場Ⅱ
   ほとんど全員がかなりきつそうに槍をついている。
兵士A「九十九、百」
   兵士A幸助に近づいて言う。
兵士A「お前初めてにしてはなかなかやるな。合格! 次は、、、、、」

○大雨の兵舎

   外の雨の様子を見ながら独り言をいう幸助。
幸助「これで山葵田もダメか」
   幸助に話しかける平八
平八「選ばれましたね。わしは、槍隊がいいと思ったので懸命に突きました。選ばれてよかったです。使った ことがない刀なんかで戦ったら殺されるのは眼に見えてますからね。あなたはやったことがあるんですか?  かなり堂に入ってましたよ」
幸助「初めてです」
平八「これからどうなるんでしょう? 怖くはないですか?」
幸助「怖いです」
平八「そんな風にはちっとも見えないですよ。わしは怖くて怖くて、正直いますぐにでも逃げ出したいくらいですよ。でも、、、、わしは百姓をやっているんですよ。だから、どんな力仕事も耐えられるんですが、でも戦だけは。あなたは?」
幸助「わしも百姓です。新谷地村というところで。名前は幸助といいます」
平八「わしはその隣の藤里村だ。名前は平八」

○壊れた石垣の前
   整列する槍隊。
   別人のような表情の幸助。
   兵士Bが話す。
兵士B「みんなご苦労であった。みんなの働きで我われは勝利を収めることが出来た。これで我が国にもようや く平和がもたらされるであろう。みんなは今日でお役目ご免である。みんな胸を張って故郷に帰るように。そ れから、今日の昼過ぎ大将軍様が御入城なさるから、帰郷を急がぬ者は出来るだけお迎えに参列するように」

○城壁が遠くに見える道路
   武士、兵士、幸助たちが整列している。
   警護兵に守られた豪奢な籠が通る。
   ひざを突いている幸助にはその様子が良く見えない。
   幸助はむしろ整地されたその道を厳しい眼つきで凝視している。

○町外れの道
   勇ましく歩く幸助。
   民家の母と幼な子が幸助の姿を見て避けるようにして急いで家に入る。
   幸助怪訝そうな表情をする。

○仁王像の前
   仁王像を眼にして怯えるようにその場から立ち去る幸助。

○集落の近く
   歩いている幸助の前には誰も迎えに出ているものはいない。

○幸助の家の前庭
   子供のミツとサチが家の前で遊んでいる。
   歩いてきた幸助が声を掛ける。
幸助「ミツ、サチ、オトウが帰ってきたぞ。」
   それを見てミチとサチは最初呆然としているが、すぐに大声をあげて泣き出す。
   その声に家のものが全員外に出てくる。
   全員が驚いた様な表情をしているが、妻千菜だけが笑顔を作り近寄ってくる。
千菜「お帰りなさい。今日帰ってくると判らなかったから、、、、」
   千菜は幸助の手荷物を受け取る。
   幸助は他の家族のものに迎えられるようにして家に入る。

○幸助の家
   近所の者が祝い物を持って訪れる。
   応対する幸助と千菜。

○幸助の家の座敷
   身支度を整えた幸助が座っているところに千菜がお膳に乗せたご飯を持ってく。
   なかなか手をつけない幸助。
千菜「どうしたのですか?」
幸助「どうしたもこうも、なんか変じゃないか。普通どおりでいいよ」
千菜「でも、せっかく長旅をして、帰ってきたんですから」
   幸助納得したようにようやく手をつける。

○幸助の家(夕)
   近所の者が祝い物を持って訪れる。
   応対する幸助と千菜。

○幸助の家の裏庭
   遊んでいる子供たちに声を掛ける。
幸助「ミツ、サチ、あんちゃんのところに行くぞ」
   子供たちはじっと見ているだけなので幸助はひとりで歩き出す。
   畑に来た幸助は農民たちが働いている姿や作物の出来具合を見て、かすかだがようやく笑みがこぼれる。
   帰り道に集落の者と合うがなんとなくよそよそして挨拶をされる。

○幸助の家の寝室
   布団の上腰を下ろしてじっと前のほうを見ている。
   千菜が部屋に入ってくる。
幸助「いったいどうしたんだ。みんなよそよそしい。子供たちさえ寄り付かない。みんな変ってしまった。
 なあ、千菜、みんなに何かあったのか?」   
   じっと幸助を見る千菜。
幸助「何だよ、なんでそんな眼をして俺を見るんだ? 俺の言うことおかしいとでも言うのかい!」
   千菜幸助から眼を離す。
千菜「みんなは何も変っていません、以前のままです。変ったのは、、、」
幸助「何だよ、俺が変ったとでもいうのかい、いったい俺のどこが変ったんだよ?」
千菜「眼が、眼が怖いというか、きつくなったというか、、、、」
幸助「眼が怖いなんて、そんな、子供たちをみるときは昔と変らずに愛しいと思っている。久しぶりにあった 近所の人は懐かしいと思ってみている。そんな俺の眼が怖いわけないだろう。俺はちっとも変っていないよ」
千菜「それだけじゃなく、なんとなく雰囲気が、かもし出す雰囲気が、、、、」
幸助「雰囲気? 匂いか? 俺が放つ匂いか? そんな訳ないだろう! 体についたほこりだって、ちゃんと湯 で洗い落としているから、何も臭う訳ないよ」
   千菜は下を見たまま幸助のほうを見ようとしない。
幸助「判ったよ、俺の眼は人殺しの眼をしてるって言うんだな。俺の体からは、そのときに殺した人の血の匂い がするって言うんだな!」
千菜「なにも、そこまでは、、、」
   沈黙が続く。
幸助「なんか気にいらねえな。あの娘のこと、俺はいつ許したんだ。挨拶にも来ないで」
千菜「今日はいろいろと取り込んでいたから、、、それにあなたの許しを得るまでは、家には入らないっていっ て、裏の山に小屋を立てて住んでいるのよ。あなただって、二人が好きあっていたのは判ってたでしょ」

○集落の畑
   幸助が近づくと近所の人がなんとなく遠ざかる。
   赤子を抱えたミクに村人が集まってあやす。
 
○幸助の家
   台所仕事をしている千菜に話しかける幸助。
幸助「お前までコソコソして。さっきなに話していたんだ。納屋の後ろに隠れて。」
千菜「千代さんと? 相談を受けていたのよ。だんなさん働かないんだって、朝からどぶろく飲んでばかりいて 、暴力を振るうんだって、それでどうしたらいいんだろうかって」
幸助「千代さんも苦労するな。ずっと歩けなかった子供どうしたんだろう?」
千菜「最近いるけるようになった見たい」
幸助「それはよかったな、、、、働かないで暴力か、、、、俺とどこが違うんだろう?」
   そう言ったまま傍らでぼっとしている幸助。
   まな板からギャベツが落ちて幸助の前を転がる。
   それを見て以上に驚き怯える幸助。
    ×  ×  ×
   戦場で、敵の捕らえられた兵士の首が次から次へと切り落とされ、それが転がる様子を兵士となった幸助   が見ている。
   (このシーンは象徴的で良い。たとえば捕虜が残虐な殺され方をするなら現代物でも良い。)
    ×  ×  ×
幸助「わあっ、、、、」
   頭を抱えて家を出て行く幸助。
   千菜は不安そうな表情でその様子を見る。
   
○幸助の寝室
   薄暗い寝室で幸助は布団の上に腰を下ろしてじっと前を見ている。
   子供たちの遊び声が聞こえる。

    ×  ×  ×
   戦場となっている町
   幸助たちを眼の前に話す兵士C。
兵士C「この町に敵が逃げ込んでいる。敵をかくまうものも敵だ。いっさい容赦してはならぬ。敵なら誰でもか まわぬ。首の数だけ褒美を取らせる。容赦はするな、徹底して破壊せよ。」 
   町に入り、家を破壊し、火を放ち、逃げ惑う大人子供を捕まえて切り殺し首をはねる兵士たち。
   民家に押し入った幸助たち、押入れにやり先を向けながら、躊躇していると、後から入ってきた兵士Cど   なる。
兵士C「何をしている、敵が潜んでいるんだぞ、早く突け!」
   幸助たち闇雲に突く。
   押入れを開けるとそこには母と二人の子供たちの遺体が。
   殺戮が続く。
   首をぶら下げた新兵たちが集まっている。
   幸助の前を通り過ぎた新兵が首を落とす。
   それを拾い上げた幸助が後を追う。
   だが混雑していて見失う。
   新兵たちが並んでいることに気づかされる。
   幸助も並ぶ。
   その列は取った首の数だけ褒美がもらえる列だとわかる。
   幸助の番が来て首ひとつ分の金銭を受け取る。
   幸助はその首をどうして良いのか途惑っている。
   兵士Dが怒鳴る。
兵士D「何もたもたしている早く捨てろ!」
   幸助は薄暗くてよく見えない窪地に眼をやる。
   そこにはおびただしい数の人間の首や首のない死体が積まれている。
   死体の積まれている窪地を土で埋めている幸助や新平たち。
     ×  ×  ×

○幸助の寝室
   薄暗い寝室で幸助は布団の上に腰を下ろしてじっと前を見ている。
   相変わらす子供たちの遊び声が聞こえる。

○移り行く季節の情景
   夏から秋へと

○寺の庭
   会釈する幸助と住職。
   景色を見る二人。
住職「あれが有名な古戦場だ。」
   うなづく幸助。

○寺の境内
   
住職「戦とはそういうものじゃ。敵を殺さなきゃ自分が殺される、仕方がないことじゃ。戦に勝つのも負けるの も、敵を殺すのも敵に殺されるのも、めぐり合わせ、宿命なのじゃ、そう思って諦めることじゃ。そうすれば 苦しまなくても済む。それから敵味方に関わりなく、この戦でなくなってものたちすべてのために供養をする こと じゃ、そうすれば心に平安が訪れるようになるだろう。」
   その後しばらく沈黙が続いた後
○幸助「実は、和尚さん、私は大変なことを発見しました。戦場で死なない方法です」
    ×  ×  ×
   戦場で状況がわからなくなった幸助と二人の新兵。
新兵A「どうやら味方からはぐれちまったようだ」  
幸助「敵がどこに居るのかサッパリ判らん?」
平八「敵に囲まれているのかもしれない、早くここから逃げよう!」
幸助「いや、下手に動かないほうがいい」
   兵士同士の切りあう音や、絶叫が聞こえてくる。
平八「もう囲まれている早く逃げよう」
新兵A「焦るな、もう少し様子を見るのだ」
平八「わあ、わあ、もうダメだ」
   冷静に話す新兵A。
新兵A「俺たちはたしかこっちから来たな、、、、」
平八「あっ、うん、うん」
   確証がもてないため首を傾げる幸助。
新兵A「いまの叫び声はこっちから聞こえてきたな」
平八「あっ、うん、うん」
   確証がもてないため首を傾げる幸助。
新兵A「ていうことは、こっちは誰もいないってことだな、」
平八「あっ、うん、うん」
新兵A「こっちに行けば、なんとか助かるってことか、、、、」
   突然新兵Aが指差すほうに走り出す平八。
   新兵Aも幸助も黙って見送る。
   やがて、平八の悲鳴が聞こえてくる。
   新兵Aと幸助はその反対側に走り出す。
    ×  ×  ×
幸助「本当はもうすこし様子を見るべきだった。そのために平八をとめるべきだった。でも止めなかった。それ は、臆病な平八を利用して、どっちが安全かを確かめるために、そして俺たちは助かった。隣村の平八を見殺 しにして、、、、」
住職「それも宿命、その人の運命なのじゃ」

○寺の参道
   幸助と住職いったん会釈して別れるが、幸助が何かを思い出したようにして戻り住職に、懐から出した    布包みを渡す。
住職「とにかく自分ひとりで解決しようと思わないことじゃ」

○古戦場跡
   手を合わせて深々と頭を下げる幸助。

○幸助の寝室(夜)
   千菜の首を絞めながら性交を求めようとする幸助。
   千菜全力でそれを拒み続ける。
千菜「止めてください。どうしたんですか?」
   幸助我に返ったように諦める。
   泣き出す千菜。
   部屋を出て行く幸助。

○集落の水田
   落穂ひろいをする百姓。

○集落の雑木林
   大きなかごに落ち葉を拾い集める百姓。

○幸助の家の納屋
   千菜に相談する幸助
幸助「俺はどうすればいいのだ。だれも俺の苦しみはわかってくれない。坊主はひとりで解決するなというけど、誰も俺のことを避けてよってこないではないか。みんなは俺がたいそうな手柄を立てて、たくさんご褒美をもらってきてるということになっているみたいではないか。俺は手柄なんか立てていない、人は殺したけど、それも、、、、それも、、、、はっきりいって俺にはサッパリ判らない。みんなは家康様が、戦に勝ち、ようやく天下を自分のものにしたと思っているけど、戦がどのようにして勝ったのか俺にはサッパリ判らない。大変なことがあったのはわかっている。とんでもないことが起こったのはわかっている。でも俺のやったことは、逃げ惑って、慌てふためいて、仲間を見殺しにして、そして大勢で囲んで、敵を殺して、そして、そして、まだ、ちいさい、、、、」
   泣きながら話す幸助を抱く千菜。

○移り行く季節の情景
   冬から春へと

○小雨に打たれてたたずむ幸助。
   その表情は気力を失った廃人のよう。

○幸助の寝室
   ひとりで寝ている幸助。
   核と空襲の様子の夢を見る。
   その恐怖に耐えかねて眼が覚める幸助。

○雑木林
   木の枝に縄をかけ自殺を試みる幸助。
   それを助けるサクアニ。
   幸助を山葵田に導くサクアニ。
   怪訝そうな表情で立ち止まる幸助をなおも付いて来るように促すサクアニ。
   やがて先に行くサクアニが、突然立ち止まり、幸助が先に行くように促す。
   怪訝そうな顔をサクアニの前に出る幸助。
   程なくして眼の前に広がる山葵田を眼にして突然立ち止まる幸助。
   呆然として眼を見張る幸助。
   山葵田全体を舐めまわすようにして見ながらゆっくりと降りて行く幸助。
幸助「これをお前がやったのか?」
サクアニ「うっ、うっ」
幸助「これは凄いな、ほんとうに?」
サクアニ「うっ、うっ」
幸助「これはいったいどういうことなんだ? いったい何が起こったんだ?!」
   そういいながら天を見上げ眼から涙を溢れさせる幸助。
   この情景を祝福するようにきらめく木洩れ日。

○移り行く季節の情景
   春から初夏へと。

○幸助の畑
   久し振りに畑にでてそこの野菜を見て不思議がる幸助。
幸助「ちな、どうしてこの株にだけ虫がたかっているんだ?」
千菜「どうしてかしら? あっ、そうか、たぶん、あれね、唐辛子とかニンニクで作った薬、途中で無くなった から、この株だけにかけなかったんだっけ」
   思案気に深くうなづく幸助。
幸助「そうか、お前が犠牲になってみんなを助けたんだな」

○幸助の家
   子供たちに呼びかける幸助。
   寄ってこない子供たち。
幸助「どうしたんだろう? まだ俺のこと怖いのかな?」
千菜「子供たちは少しずつだけど成長してるのよ」
   幸助納得したように笑みを浮かべる。

○春介の家
   春介の家を訪ねる幸助。
   ミクから赤子を取り上げる幸助。
幸助「ヨシ、ヨシ、ヨシ、ジィジィだぞ。うっ、ばぁ、うっ、ばぁ、名前はなんていう?」
ミク「カケル」
幸助「カケル? 翔ける? 良い名前だ。ジィジィだぞ、うあぃ、うあぃ、春介! 明日カケルを連れて、山に 登るから、準備をしておくように。誰だって孫の顔は見たいからのう。カケル、ジィジィだぞ、、、、」
   喜びを爆発させ続ける幸助。
   その様子を満面の笑みで見ているミク。

○幸助の家
   野菜の苗などの荷物やカケルを背負い家を出る幸助春介ミクの三人。

○友達Bの畑
   働いている友達Bとその妻に挨拶する三人。
幸助「精がでますなあ」
   笑顔で応える若夫婦。

○ファーストシーンの続き

  (終わり)

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備考

風習しきたりにはまだはっきとりとした物がない。
ファッションにはそれほど制約がない。
性格は物怖じしない穏やか寛大
周囲の集落との比較
余剰生産物と境界の画定
遊休地や緩衝地帯の減少
農民と虐殺される人たちは二役
宗教の定着
検地により人間管理境界の確立

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